松岡圭祐(まつおかけいすけ)さんの作品です。
あらすじ
滅び行く清の王女・愛新覺羅顯玕(あいしんかくらけんし)は国を去り、日本で川島芳子として育てられた。後に大陸進出に邁進する闘士として、東洋のジャンヌ・ダルクと持て囃された彼女が、なぜ十代で女を捨て男になると宣言し、「男装の麗人」に変貌したのか?
国家を巡る思惑の狭間で生きる少女の数奇な恋と運命、激動の青春篇。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
史実を元にして描かれている、清朝復興の使命感と無力感を抱えた主人公の物語です。
川島芳子というひとの数奇な生涯。
養父の下で成長した芳子をめぐって進んでいくストーリー。
「男装の麗人」と呼ばれ、そこに至った経緯についての謎解きが盛り込まれる展開に、やはり引き込まれます。
この人物を主人公に何を描きたかったのか、を考えさせられました。
どこまでが真実でどこからがフィクションなのか、読み進むにつれ、そんなことも意識していました。
「生きること」の意味を問うこの作品は年齢や性別、国籍を問わず、多くの人に共感されるであろうテーマを扱っていると思います。 辛く苦しい時代背景に触れながらも、最終的には前向きなメッセージを投げかけてくれるので、読み終わった後に感じる清々しさや充実感こそが、この作品の魅力と言えるのではないでしょうか。
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