花村萬月(はなむらまんげつ)さんの作品です。
あらすじ
南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。
激しい時化に呻く25万トンの巨大タンカーの中で、村上の友人、崔は死んだ。仕事中
の事故とはいえ、崔を死に至らしめた原因は、日本刀を片手に彼らを監督する徳山の執拗ない
たぶりにあった。
徳山は同性愛者であった。そして村上を愛していた。村上と親しかった崔の死こそ徳山の嫉妬であり、彼独自の愛の形であった――。
横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫綾、そしてホモのヤクザ徳山が奏でる哀しい旋律。
芥川賞作家が描く、濃密で過剰な物語。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
元ギタリストの村上、同性愛者のヤクザ徳山、そしてブルースシンガーの綾の三角関係を中心に展開する物語です。
暴力や性描写が多いという印象ではあるのですが、だからこそのリアリティを感じずにはいられませんでした。生々しい過去、そして感情や行動が際立ち、読み入ってしまうのです。
村上と綾の激しいほどの愛、そしてブルース音楽が重要な要素となって物語は進行します。
あらすじにもあるように哀しい旋律、最後の幕は……。
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