松岡圭祐(まつおかけいすけ)さんの作品です。
あらすじ
保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられる。
しかし結果は杜撰で強引な捜査を再確認するだけだった。医師で最上位階級である「核心階層」に属していたヨンイルの父も、大物政治家の暗殺容疑で収容されていた。
再捜査に父への思いが重なり自国の体制に疑問を抱いたヨンイルは、ついに真犯人らしき男にたどり着くが・・・・・・。
鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリー。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
この作品は脱北者の証言に基づき、北朝鮮独特の身分制度である「出身成分」や、国家による監視体制などを描いているので、北朝鮮という国の詳細がリアルに伝わってきます。
単なるミステリー小説ではなく、北朝鮮における人権問題や、全体主義国家の矛盾など、とても考えさせられるようなテーマを扱っています。
主人公のクム・ヨンイルが捜査を進める中で様々な謎に直面、そして同時に、国家への不信感や、家族との葛藤にもがき苦しむことになります。
謎解きと人間ドラマが巧みに融合、最後は……泣いてしまいました。
コメント