Yokaが選ぶミステリー小説! 空白の叫び

ミステリー

あらすじ

上>
退屈な日常の中で飼いならしえぬ瘴気を溜め続ける久藤。

恵まれた頭脳と容姿を持ちながら、生きる現実感が乏しい葛城。

複雑な家庭環境ゆえ、孤独な日々を送る神原。

世間への違和感を抱える三人の少年たちは、どこへ向かうのか。少年犯罪をテーマに中学生たちの心の軌跡を描き切った衝撃のミステリー長編。

中>
それぞれの理由で、殺人を犯した三人は少年院で邂逅を果たす。

しかし、人殺しのレッテルを貼られた彼らにとって、そこは想像を絶する地獄であった…・・・・・。苛烈ないじめを受ける久藤は、混乱の中で自らを律し続ける葛城の精神性に強い興味を持つ。やがて、少年院を出て社会復帰を遂げた三人には、さらなる地獄が待ちうけていた。

下>
社会復帰後も失意の中にいた久藤は、友人水嶋の提案で、銀行強盗を計画し、神原と葛城にも協力を依頼する。

三人は、神原の提案で少年院時代の知り合いである米山と黒沢にも協力を依頼する。三人の迷える魂の彷徨の果てにあるものとは?

ミステリーで社会に一石を投じる著者の真骨頂と言える金字塔的傑作。 (文庫本裏表紙より)

おすすめポイント

まず挙げたいのが『緻密な構成と巧妙な伏線』です。

一見バラバラに見える複数の事件が巧妙な伏線によって繋がっていきます。読み進むにつれ引き込まれていき、もうとまりませんでした。

登場する人物たちはいずれも深い傷を抱えています。それぞれの心理描写がとても丁寧で、共感を覚えました。

衝撃的なラストでは予想を裏切る衝撃的な展開が待っていました。読み終えた後も余韻に浸るというのでしょうか、しばらくの間、胸が重かったです。

この作品は単なるミステリー小説ではなく、社会派ミステリーとしての側面も持ち合わせています。 少年たちの心の闇が垣間見られ、非常に深く、現代社会の問題について考えさせられた作品です。

空白の叫び(上) (文春文庫) [ 貫井徳郎 ]
空白の叫び 中 (文春文庫) [ 貫井 徳郎 ]
空白の叫び 下 (文春文庫) [ 貫井 徳郎 ]

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