有川浩(ありかわひろ)さんの作品です。
あらすじ
神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。
店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。
大坂江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。
しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが……。
料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奪闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
ひとことで言うなら、「江戸時代の食文化を鮮やかに描いた時代小説」ということになるのでしょうが、高田郁さんの文章表現により料理の描写はもちろん、風景や心情まで繊細に描かれていて、物語の世界にいとも簡単に引き込まれていきます。
舞台は江戸時代後期。
活き活きとした描写は、江戸の時代を観ているような感覚にまでさせてくれますし、旬の食材を使った料理の数々は、まるで目の前にその料理があるかのように想像させてくれます。
とにかく、江戸時代の食文化や人情に触れることができる、優しく心温まる物語です。
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