歴史の表舞台から裏側まで、様々なドラマが繰り広げられる時代小説。
戦国時代の乱世を舞台に、一人の若者が成長していく姿を描いた作品から、江戸時代の町人たちの生活を克明に描いた作品まで。
歴史ファン必見!今回も、心に響く時代小説5作品をご紹介します。
村上海賊の娘
和田竜(わだりょう)さんの作品です。
あらすじ
(一)
時は戦国。
乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。
村上海賊——。瀬戸内海の島々に根を張り、 強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、 娘の景(きょう)だった。
海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く――。
本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞!
木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。
(二)
天下統一に乗り出した織田信長が、大坂本願寺を攻め立てていた天正四年。一向宗の門徒たちは籠城を余儀なくされていた。
海路からの支援を乞われた毛利家は、 村上海賊に頼ろうとする。織田方では、泉州淡輪の海賊、眞鍋家の若き当主、 七五三兵衛が初の軍議に臨む。
武辺者揃いの泉州侍たち。大地を揺るがす「南無阿弥陀仏」の大合唱。
難波海で、景が見たものは――。激突の第二巻。
(三)
織田方の軍勢は木津砦に襲い掛かった。雑賀党一千の銃口が轟然と火を吹き、その猛攻を食い止める。本願寺門徒の反転攻勢を打ち砕いたのは、京より急襲した信長だった。封鎖された難波海へ、ついに姿を現す毛利家と村上家の大船団。
村上海賊には、毛利も知らぬ恐るべき秘策があった。自らの家を保つため、非情に徹し、死力を尽くして戦う男たち。
景の咆が天に響く――。波瀾の第三巻。
(四)
難波海での睨み合いが終わる時、夜陰に浮かび上がったわずか五十艘の船団。
能島村上の姫、景の初陣である。ここに木津川合戦の幕が切って落とされた! 煌めく白刃、上がる血飛沫。炸裂する村上海賊の秘術、焙烙玉。眞鍋家の船はたちまち炎に包まれる。
門徒、海賊衆、泉州侍、そして景の運命は――。
乱世を思うさまに生きる者たちの合戦描写が、読者の圧倒的な支持を得た完結編。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
日本最大の海賊勢力であった村上水軍の内部抗争や、織田信長や毛利元就といった戦国武将との駆け引きなどを壮大なスケールに引き込まれました。
とにかく主人公の景がよいです。
男勝りな行動から「貰い手のない醜女」と呼ばれ、だけど芯が強く、正義感あふれる人物、村上水軍の武将として活躍するさまに惹かれました。
恋愛や友情など、人間ドラマも見どころですし、瀬戸内海の美しい景色の描写も素敵です。
歴史好きの方はもちろんのこと、時代小説を初めて読む方にもおすすめできる作品です。
村上海賊の娘(一〜四)合本版(新潮文庫)【電子書籍】[ 和田竜 ]
火怨~北の燿星アテルイ~
高橋克彦(たかはしかつひこ)さんの作品です。
あらすじ
上)
辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしている陸奥の民。
八世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弖流為(アテルイ)は遊撃戦を開始した。
北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。
古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。
下)
朝廷の大軍を退けた蝦夷たちの前に、智将・坂上田村麻呂が立ちはだかる。
威信を懸けた朝廷の逆襲がはじまった。
信に足る武人・田村麻呂の出現で、阿弖流為は、民のため命を捨てる覚悟を決めた。
北の大地に将たちが一人、また一人と果てていく。
蝦夷の心を守り戦い抜いた古代の英雄を、圧倒的迫力で描く歴史巨編。
おすすめポイント
やはりというべき、壮大なスケールです。
主人公アテルイの人間味あふれる描写、その魅力に引き込まれ、戦闘シーンや戦略の描写は緻密で素晴らしく、お見事、というほかないです。
戦術の駆け引きや策の仕掛け合いは見どころですよ。
蝦夷と朝廷の関係や、蝦夷の文化・風習についても深く掘り下げられていて、その背景が時代を飛び越え身近に感じることができる、読み応えのある一冊です。
火怨 上 北の燿星アテルイ【電子書籍】[ 高橋克彦 ]
火怨 下 北の燿星アテルイ【電子書籍】[ 高橋克彦 ]
花散らしの雨 みをつくし料理帖
高田郁(たかだかおる)さんの作品です。
あらすじ
元飯田町に新しく暖簾を掲げた「つる家」では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じも・のが「つる家」よりも先に供されているという。
はじめは偶然とやり過ごすも、さらに考案した料理も先を越されてしまう。
度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、ふきの不審な行動を目撃してしまい。
書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」
シリーズ、待望の第二弾!
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
料理がテーマであって、江戸時代の食文化が詳細に描かれていて、そして繰り広げられる人間模様があります。今回登場する〝ふき〟という少女。彼女の境遇にはやはり心が揺さぶられました。
人と人との絆や、困難に立ち向かう姿、そして何より心温まる物語です。
主人公澪が料理を通じて人々と繋がり、成長していく姿に、この作品の吸引力を思わされます。
巻末で実際に作れるレシピも掲載されているので、これも楽しみのひとつですね。
花散らしの雨 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫) [ 高田郁 ]
覇王の番人
真保祐一(しんぽゆういち)さんの作品です。
あらすじ
上)
戦乱の世を我が手でしずめてみせる!
その決意を胸に秘め、明智光秀は一人の武将に目をとめる。
その男とは――織田信長。
やがて光秀は天下統一の夢を信長にたくし、織田軍団の先頭に立って戦いの日々へと突きすすんでいく。
歴史に葬られた男・明智光秀の真実を掘り起こし、戦国の定説をくつがえす歴史巨編、堂々登場!
下)
血みどろの戦を重ね、光秀は信長を「天下人」へ押し上げる。だが、冷酷非情な信長は無惨な虐殺をくりかえし、自らを神と称するようになる。
悩んだ光秀は、ついに決断を下す……。
亡き親の敵と信長をうらむ小平太は忍びとなって、光秀を助けるべく本能寺へと急ぐ!
史上最大の謎が今ここに解き明かされる。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
戦国時代を舞台にした歴史小説、明智光秀という武将を主人公にして、その人間性に迫る物語、それだけで手に取って読みたくなりました。
史実に基づいた光秀の視点と、小平太という忍びの視点から描かれているこの作品、期待を外しません。
織田信長の信頼を得ていた光秀の葛藤や決断、これまでにも数々の戦国の物語を観てきているのですが、また、引き込まれていきます。
光秀は単なる反逆者ではなく、信念に忠実で慈悲深い人……。
なぜに反旗を翻したのか……。
覇王の番人(上) (講談社文庫) [ 真保 裕一 ]
覇王の番人(下) (講談社文庫) [ 真保 裕一 ]
想い雲 みをつくし料理帖
高田郁(たかだかおる)さんの作品です。
あらすじ
土用の入りが近づき、澪は暑気払いに出す料理の献立に頭を悩ませていた。
そんなある日、戯作者・清右衛門が版元の坂村堂を連れ立って「つる家」を訪れる。澪の料理に感心した食道楽の坂村堂は、自らが雇い入れている上方料理人に是非この味を覚えさせたいと請う。
翌日、さっそく現れた坂村堂の料理人はなんと、行方知れずとなっている、天満一兆庵の若旦那・佐兵衛と共に働いていた富三だったのだ。
澪と芳は佐兵衛の行方を富三に聞くが、彼の口から語られたのは耳を疑うような話だった――。
書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第三弾!
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
人々の心を繋ぎ、様々な感情に正面から向き合う主人公の澪。
登場人物たちと一緒に喜び、悩み、そして女料理人の道を切り開き成長していく姿。
やはり、その一生懸命さにただただ感動します。そして、料理を通して描かれる登場人物たちの心の機微や人間関係の深さに心が温かくなりますね。
前作までの登場人物たちの成長や関係性が描かれ、新たな謎やドラマが展開されていて、深く作品の世界観を楽しむことができます。
まとめ
第2弾Yokaおすすめの【第2弾】歴史・時代小説5つの物語でした。
歴史の舞台を彩る個性豊かな人物たちと、波乱万丈な人生が描かれた5作品です。
教科書の中だけでなく、小説の世界でも生き続けていますね。
今回の記事が新たな発見のきっかけになれば幸いです。
ぜひ、お気に入りの一冊を見つけてください。
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