あらすじ
大学四年生の笹岡昌之が、高校生と思しき一人の少女と二人の少年に〝ミツル〟と人違いされたことから物語は始まる。
少年たちは大胆にもバスジャックを企てていた。その首謀者が、どうやら〝ミツル〟らしい。
偶然と奇異的な現象が重なり、人違いされたままに新潟までの夜行バスに乗ることになる。
あまりにも脆く、計画性の乏しいバスジャック劇の幕は呆気なく降ろされる。高校生くらいの歳であろう少年たちがナイフのみを振りかざし、何を完遂させられると思っていたのか。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
姿なき瓜二つの男に、昌之と家族は翻弄される。
昌之の父親である弘樹の過去と少年たち、そして〝ミツル〟と名を語る男が糸のように絡み合い、混乱と驚愕の渦に昌之は巻き込まれていく。
〝ミツル〟とは何者なのか。どこから現われたのか。
おすすめポイント
世の中には、瓜二つの人間が存在すると言われています。
瓜二つの人間を並べて立たせているだけでは違いがわからなくても、重ねてきた時間を顧みることができれば、二人がまったく別の人間だとわかる……。
価値観、趣味嗜好の違い、送ってきたそれぞれの暮らしや、学習してきたこと、経験が異なれば当然、違いは如実に表われるのでしょう。
それを証明したいがために作り上げた計画がありました……。
自分は何者なのか、その置かれた状況を憎み、本当はどうなりたかったのか。
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