「おすすめミステリー小説5選」の第2弾、
物語の中で提示される謎やトリックを解き明かすために推理を楽しみ、巧妙に仕掛けられた伏線や意外な展開に引き込まれてください。
灰色の虹
貫井徳郎(ぬくいとくろう)さんの作品です。
あらすじ
身に覚えのない上司殺しの罪で刑にした江木雅史。
事件は彼から家族や恋人、日常生活の全てを奪った。
出所後、江木は7年前に自分を冤罪に陥れた者たちへの復讐を決意する。
次々と殺される刑事、検事、弁護士次の標的は誰か。
江木が殺人という罪を犯してまで求めたものは何か。
復讐は決して許されざる罪なのか。
愛を奪われた者の孤独と絶望を描き、人間の深淵を抉る長編ミステリー。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
緻密な構成、巧妙な伏線、深い人間ドラマ。そして、最初から最後まで息詰まるような緊張感に飲み込まれるほどの、多くの魅力が詰まった作品です。
無実の罪を着せられ、人生が一変する主人公。
冤罪の過酷さがこれでもかとうほど描かれています。
刑事、検事、弁護士など、事件に関わる人々の視点から進行していき、それぞれの立場での思考や葛藤に物語の奥深さを感じさせられました。
物語は二転三転しながら進みます。予測できない展開に引き込まれること請け合いで、ミステリアスな要素も楽しめる作品です。
出身成分
松岡圭祐(まつおかけいすけ)さんの作品です。
あらすじ
保安署員クム・ヨンイルは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられる。
しかし結果は杜撰で強引な捜査を再確認するだけだった。医師で最上位階級である「核心階層」に属していたヨンイルの父も、大物政治家の暗殺容疑で収容されていた。
再捜査に父への思いが重なり自国の体制に疑問を抱いたヨンイルは、ついに真犯人らしき男にたどり着くが・・・・・・。
鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリー。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
この作品は脱北者の証言に基づき、北朝鮮独特の身分制度である「出身成分」や、国家による監視体制などを描いているので、北朝鮮という国の詳細がリアルに伝わってきます。
単なるミステリー小説ではなく、北朝鮮における人権問題や、全体主義国家の矛盾など、とても考えさせられるようなテーマを扱っています。
主人公のクム・ヨンイルが捜査を進める中で様々な謎に直面、そして同時に、国家への不信感や、家族との葛藤にもがき苦しむことになります。
謎解きと人間ドラマが巧みに融合、最後は……泣いてしまいました。
希望の糸
東野圭吾(ひがしのけいご)さんの作品です。
あらすじ
小さな喫茶店を営む女性が殺された。
加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。
彼女の不可解な行動を調べると、ある少女の存在が浮上する。
一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろうとしていた。彼の遺言書には意外な人物の名前があった。彼女や彼が追い求めた希望とは何だったのか。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
加賀恭一郎シリーズ、従兄弟である松宮脩平が主役の作品です。
松宮の両親がもつ秘密と喫茶店で殺害された女性の事件――。
並行して進み、そして交わってくる展開の巧みさに感嘆がもれました。
子どもを亡くした……。
親と名乗れない……。
二つの希望がやはり並行、そして起きる悲劇。
「生まれて初めて、あたしの妊娠を喜んでもらえた。子供を産んでいいっていってもらえた。それだけで十分。あたし、それを支えに生きていける」
切なくて涙が止まらないこと請け合いです。
追想五断章
米澤穂信(よねざわほのぶ)さんの作品です。
あらすじ
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書い
リドルストーリ
た五つの「結末のない物語(リドルストーリー」を探して欲しい、という依頼を受ける。
調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件 「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。
五つの物語に秘められた真実とは?
青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。
精緻きわまる大人の本格ミステリー。
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
五つのリドルストーリーを探し、五つの物語の結末があって、そして未解決事件というという巧妙な構成だけでも感嘆の声が出るというのに……。
謎解きの面白さだけではなく、その時代の世界観も絶妙に表現されていて、単なるミステリーという枠組みに収まらない作品です。
とにかく夢中になり、次が気になって読み進めてしまうこと間違いなしです。
検察側の罪人
雫井紹介(しずくいしゅうすけ)さんの作品です。
あらすじ
上)
蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。
最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引なやり方に疑問を抱くようになる。正義のあり方を根本から問う雫井ミステリー最高傑作!
下)
23年前の時効事件の犯行は自供したが、老夫婦刺殺事件については頑として認めない松倉。
検察側の判断が逮捕見送りに決しようとする寸前、新たな証拠が発見され松倉は逮捕された。しかし、 どうしても松倉の犯行と確信できない沖野は、最上と袂を分かつ決意をする。
慟哭のラストが胸を締めつける感動の巨篇!
(文庫本裏表紙より)
おすすめポイント
東京地検刑事部のエリート検事・最上毅と、彼に心酔する若手検事・沖野郷。
未解決殺人事件との意外な接点に気づき真実を追い求めていく過程で、巧妙に練られた伏線、期待通りの予測不能な展開がまっています。
過去の事件と現在の事件の繋がり、その謎解きの過程はとてもスリリングです。
ミステリー小説という枠だけにとどまらず、検察や警察組織の内部事情、司法制度の矛盾や問題点などのリアルな描写もあって、当然ながら最後まで飽きはこないです。
検察側の罪人 上 (文春文庫) [ 雫井 脩介 ]
検察側の罪人 下 (文春文庫) [ 雫井 脩介 ]
まとめ
以上がYokaおすすめのミステリー小説5つの物語でした。
異なる魅力を持つミステリー小説、やはり巧妙に仕掛けられた伏線と予測不可能な展開に引き込まれます。
ぜひ、知的好奇心を満たしてください。
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